カードワース素材とシナリオの配布・自宿含む一次創作を置く場所。
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一夜明けてベッドから起き上がったノウはそわそわとシェスの姿を探した。 ノウとの予定が入っていなければ朝日とともに眠りにつくシェスは、蝙蝠姿で机の上で丸まっていたり、天井に設置された止り木のようなものにぶら下がって眠っていることが多いのだが、今日はまだ起きていたらしく人の姿で針を...
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依頼を受けた二人はさっそくワイルドボアが出没する村へ向かった。 予想以上に困っていたのか、村人や村長は依頼を受けた二人に対して好意的に接してくれたので、ノウは内心ほっとした。 今まで接してきた依頼人は良心的な者が多かったが、冒険者という稼業に対して良い感情を抱いていない者も少な...
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定宿にしている狭間の追憶亭に帰還してから二週間。 ワイルドボアの討伐を終えて、拠点の宿に帰ってきたノウは早速料理に取り掛かった。 一週間から日にちをずらしたのにはちょっとした理由があるが、シェスに成功した美味しい料理を食べてもらうときにそれを言おうと思っている。 ノウは亭主に許...
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食事を終えたシェスはノウが食べ終わるのを待ってともに自室に戻った。 舌に残る懐かしい味は、シェスの精神をちりちりと焼け焦がして掻き乱している。 わからない。 焦燥が胸を焦がして、視界がグラグラと揺れているのがなぜなのかわからない。 取り繕うように笑顔を浮かべようとしたが...
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真っ暗な夜だった。 星のみえない暗い暗い夜だった。 薄い雲の向こうに見える三日月のように蜂蜜色の瞳と端正な顔立ちを歪めて、シェスは街から少し離れた森の奥に立ち尽くしていた。 月の光も届かない昏い森の樹々が、さわさわと冷たい風で葉を揺らして、茂みの向こうでがガサゴソと夜行性の...
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「……う、ううん…っ」 眩しい、そう思った。 窓辺から差し込む光が朝であることを自分に伝えてくる。 シーツが擦れるような音を立てて、ノウは自分がベッドの上で眠っていたことに気がつく。 覚醒しきっていない意識のまま、...
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鬱蒼とした森の奥で未だシェスはじっと息を潜めていた。 その姿は白い蝙蝠姿に変わっており、潜んでいるのは栗鼠(リス)と寝床の奪い合いを繰り広げ勝利した大木の木の洞である。 そろそろ冬眠の時期だというのに争奪戦に敗北した栗鼠は今頃別の寝床を確保するのに駆けずり回っているかもしれない...
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――――――――時間は少し遡る。 「あの、ありがとうございました」 ノウはシェスがいるかもしれないとあたりをつけた森の入口にいた。 徒歩なら数日かかる距離だったが、こちら方面を通る馬車に運良く乗ることができ、森...
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(……――――――) かすかに寒気を覚えてシェスはゆっくりと目を開けた。 (――――――ひよこちゃん、は、どうなった……?) きょろきょろと周りを見回すがノウの姿は見えない。 それどころか、自分と刺し...
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「………、……」 シェスが手放した意識を手にとって目を開ければ空には変わらず月が浮かんでいた。 (……ああー、くっそ、いてぇ) 視界の端には動かなくなった...
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