カードワース素材とシナリオの配布・自宿含む一次創作を置く場所。
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時間の経過は早いもので、気づけばヴィルトワールへと出発する日を迎えていた。 肌寒さが続いていたピエタールの街も、少しずつ暖かくなってきている。 ベロニカ、アンナ、レアンはすでに孤児院を出ていた。 三人が孤児院を出る前に羊皮紙を数枚渡しておいたのだが、全員律儀に手紙を送ってくれて...
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ガタゴトと馬車に揺られて道中を行く。 ヴィルトワールを出た一行はいくつかの村や街を経由して鬱蒼とした森を進んでいた。 空は分厚い雲に覆われ鉛色に染まっている。 「シスターも神父様もほいほい頼み事を安請け合いしやがって! 予定よりかなり遅れちまってるんだぞ!!ったく&helli...
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森のなかに佇んでいた洋館はひっそりと静まり返っていた。 小さな庭には雑草が生い茂り、扉の金具は錆びついている。 三階建てだろうか。ここからみえる窓はすべて固く閉じられており、明かりが灯っているところは一つもない。 眼の前の建物が人の手から離れて久しいのは誰が見ても明らかだった。...
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―――、――ぜ―、――――に―――――――――! ―――――め―――――さ――――――――――シェ――――――。 「…………!!」 カーラ...
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吸血鬼になって何十年かたったシェスの話。「鬼が生まれるまで」「山奥の村にて」あたりを読んでいたほうが意味がわかるかもしれない感じの話。 人の身から吸血鬼という存在へと変貌してから早幾年。 もう季節が何度移り変わったかはわからない。 時の流れ...
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「どうしよう…。元気ないのかな。お医者さんに診てもらったほうがいいのかも。こうもりをみてくれるお医者さんっているのかなあ…」 おとなしい白い蝙蝠に子供は何を思ったのかシェスを両手で抱えたまま表通りへと歩を進め始めた。 目を剥いたのはシェスだ。 今...
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「おれの家、ここじゃなくて山奥の村なんだ。野菜を育ててるんだよ」 「…キイキイ」 路地裏でひっそりと過ごしていたシェスの環境は少し騒がしくなった。 先日迷い込んできた子供が、何を思ったのか定期的にシェスのもとに訪れるようになったからだ。 当初奇声をあげて驚いた...
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「……あ、そろそろもどらなきゃ」 「きゅ」 しばらくシェスの頭をなでていたノウだったが、名残惜しそうにシェスを木箱の端にのせる。 先程まで嬉しそうにニコニコしていたあどけない顔はどこか翳りを帯びていた。 まだ撫で足りないのかとシェスは胡乱げにノウ...
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(……―――、は…?) 頭が真っ白になるとこういう事を言うのだろうか。 人の姿に戻るのも忘れ、飛ぶ速度をあげたシェスはそのままノウの近くに降り立った。 どくどくと心臓が波打ち、視界がぐるぐるとせわしなく揺れる。 (何だ、何やって...
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(おねがい、つれていかないで) ずきずきと痛む全身に顔を歪めながら、意識を失う直前にノウの視界に映ったのは、片方の羽根を曲げられて、鳥かごに放り込まれている白い蝙蝠だった。 最近ようやく撫でさせてくれるようになったのに、きっとまた嫌われてしまったと悲しくなる。 (ごめんね...
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