カードワース素材とシナリオの配布・自宿含む一次創作を置く場所。
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「……きゅ」 白い蝙蝠姿でお手製のクッションに沈みうとうとしていたシェスはのそりと顔を上げた。 窓の外は日が沈みかけている。 もうすぐ夜が来る時間だ。 きょろきょろと部屋の中を見回すが、ノウの姿は見...
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――ノウがシェスに料理を作るようになって数日後。 「シェスさん、あのね、今日はスクランブルエッグつくってみたよ」 「ふーん、どろどろしてんな~。半熟なんてかわいいもんじゃねぇわ、これ」 「えっ、う、うわあ、すごいどろどろしてる…。うう&he...
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「役所あいててよかった!シェスさんもいっしょにいってくれてありがとう~」 「キィキィ」 夕陽が石畳を照らす帰り道を、ノウの上着のフードに潜り込んでいる蝙蝠姿のシェスと一緒にノウが歩いている。 無事に姉と妹に手紙を送ることができたノウは気分も足取りも軽やかだ。 すれ違う人々は...
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一夜明けてベッドから起き上がったノウはそわそわとシェスの姿を探した。 ノウとの予定が入っていなければ朝日とともに眠りにつくシェスは、蝙蝠姿で机の上で丸まっていたり、天井に設置された止り木のようなものにぶら下がって眠っていることが多いのだが、今日はまだ起きていたらしく人の姿で針を...
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依頼を受けた二人はさっそくワイルドボアが出没する村へ向かった。 予想以上に困っていたのか、村人や村長は依頼を受けた二人に対して好意的に接してくれたので、ノウは内心ほっとした。 今まで接してきた依頼人は良心的な者が多かったが、冒険者という稼業に対して良い感情を抱いていない者も少な...
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定宿にしている狭間の追憶亭に帰還してから二週間。 ワイルドボアの討伐を終えて、拠点の宿に帰ってきたノウは早速料理に取り掛かった。 一週間から日にちをずらしたのにはちょっとした理由があるが、シェスに成功した美味しい料理を食べてもらうときにそれを言おうと思っている。 ノウは亭主に許...
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食事を終えたシェスはノウが食べ終わるのを待ってともに自室に戻った。 舌に残る懐かしい味は、シェスの精神をちりちりと焼け焦がして掻き乱している。 わからない。 焦燥が胸を焦がして、視界がグラグラと揺れているのがなぜなのかわからない。 取り繕うように笑顔を浮かべようとしたが...
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真っ暗な夜だった。 星のみえない暗い暗い夜だった。 薄い雲の向こうに見える三日月のように蜂蜜色の瞳と端正な顔立ちを歪めて、シェスは街から少し離れた森の奥に立ち尽くしていた。 月の光も届かない昏い森の樹々が、さわさわと冷たい風で葉を揺らして、茂みの向こうでがガサゴソと夜行性の...
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